暗くなった帰り道を
先輩は一緒に歩いてくれた。
歩幅を合わせて
私がついて来れるように。
この出来事を誰かに言いたくて
家に着くとすぐ麻衣子に電話をした。
電話越しで麻衣子は
“凄い”を連呼しながら
私とはしゃいでいた。
部屋の風鈴が
綺麗な音色を奏でていた。
7月28日、いつもの駅に
特別な姿があった。
地元の花火大会ではなく
少し離れた所だと言われ
行く場所わからず
私は先輩についていった。
「これから行く場所、
俺の好きな場所なんだ」
「そうなんですか?
なんか先輩って、
他の人は知らない場所
よく知ってますね」
「図書室とかね」
いつもの電車
なのに隣に先輩がいるだけで
心地がいいのは気のせいだろうか


