フレアの裏口付近でエリカと再会した2人。


出来ることなら、彼女とはもう関わり合いたくなかった。


しかし、見つかってしまったからには仕方がない。


悠希はため息をつくと、覚悟を決め振り返る。



「……どうも」



短く挨拶をする悠希。

さくらも一緒に振り返る。



「……」



しかし、言葉は何もない。


「おーっ? エリカちゃんの知り合い?」


エリカと一緒にいた、体格のよい男が明るい声を出した。


「さっき電話で話した……生意気な女よ……!」


エリカは吐き捨てるように言う。

その言葉に、さくらはグッと下唇を噛む。




(落ち着いてさくら! 挑発に乗っちゃダメ!)




さくらは自分に言い聞かせる。


「玲司だけじゃなくて、今度はそっちの男もモノにしようってワケ?」

「あ……あたしは、そんなこと考えてないっ!」


しかし、さくらの抑えはあっさり振り切られる。


「じゃあ、どんなつもりよ? 妻子持ちとコソコソしちゃってさ!」

「違うっ! 悠希くんは……!!」


言いかけた言葉を飲み込む。




(悠希くんのこと……あたしが勝手にしゃべっていいわけない)




その様子を勘違いしたエリカ。

口ごもるさくらを鼻で笑う。


「悠希くんは、何? あたしの特別な人だから~とでも言うの?」


腕を組み、まさに仁王立ちという格好でエリカは立つ。



「バッカじゃないの!? アンタら2人しておかしいのよ!!」