桜の花びら舞う頃に


「由梨……久しぶりだな」


『うん……ほんと、久しぶりよね……』



由梨は、そう言って微笑む。



「えっ!? 由梨の声が聞こえる?」



普段、夢の中に現れた由梨は、全く声を発していなかった。

その口を開いても、そこからあの澄んだ声が出ることはなかったのだ。


驚く悠希に、由梨は唇をとがらせる。



『もうっ! いつも話しかけてたのに、あなたが聞こうとしなかったんじゃない!』


「そ、そうだったのか……?」



由梨の声を閉ざしていたのは、自分自身だったのだ。



「ご、ごめん……でも……これからはずっと一緒にいられるから……」


『……本当に怒るよ!』


「えっ!?」



由梨は、真剣な表情で悠希を見つめた。



『今……あなたを必要としているのは、あたしじゃないでしょう?』


「……」


『今……あなたが行くべき場所は、あたしのところじゃないでしょう?』


「由梨……」


『その目をよく開いて……耳をよくすまして……』