桜の花びら舞う頃に

しかしさくらは、悠希の言葉を制止すると、その腕から逃れた。


そして、悠希に背を向けたまま、3歩前に進む。



「さくらちゃん……?」



そこで、さくらはクルリと悠希に向き直る。

その顔はいつになく真剣で、それを見る悠希の心臓は激しく脈打った。



さくらは姿勢を正すと、後ろ手を組む。





「……1年2組、月島 悠希くん!」





凛とした声が、辺りに響き渡る。




「はいっ!」




悠希は、背筋を伸ばした。

さくらはうなずくと、言葉を続ける。






「あなたの想いを……聞かせて下さい」






そう言って、さくらは一歩前に進み出た。

悠希は、さくらを見つめる。







そして……







「俺は……さくらちゃんが好きだ!!」







さくらを見つめるその瞳は、とても真剣で━━━







「誰にも渡したくない!」







でも、優しくて━━━







「ずっと……そばにいてほしい!」







全てを包み込んでくれるような







そんな瞳だった。