桜の花びら舞う頃に

「あの……」


「うん?」


「あの……2人、楽しそうね」



しかし、さくらの口からは、考えていたこととは違う言葉が飛び出してしまう。




(うわぁっ、あたしは何を……)




切り出せない自分に腹が立つ。



「もーっ!!」



さくらは、頭を左右に激しく振った。



「さ、さくらちゃん?」



そんなさくらを、悠希が心配そうにのぞき込む。

自分への苛立ちを、つい外に出してしまったさくらだった。



「う……」



さくらは、恥ずかしさのあまり、耳まで赤くなる。




(今日のさくらちゃん……何だか様子がおかしいな)




悠希の隣りでうつむくさくら。




(……よし!)




「さくらちゃん!」


悠希は立ち上がると、さくらに手を差し伸べた。



「ちょっと、歩かない?」



そう言って、悠希は優しく微笑むのだった。