桜の花びら舞う頃に

緑地公園は、相変わらず様々な人たちで賑わっている。


楽しげな家族連れ、走り回る子供たち、そして愛を語らう恋人たち。


すっかり秋の色に染まった公園を、思い思いに楽しむ人たちが、そこにはいた。



「きゃはははー!」


「た~、待てー!」


「た~ちゃん、こっちよー!」



悠希と拓海、そして香澄の楽しそうな声が響く。

それを、少し離れたベンチで見つめるさくら。



「あ~あ~」



さくらは、ため息をつきながら空を見上げた。



今日は特別な日のはずだった。


悠希の気持ちを聞き、そして、見合いを断る。



「それが……何で、こうなっちゃうんだろ……」



再び、ため息が漏れる。



「お見合い……受けちゃおうかな……」


「誰がお見合い?」


「ゆ、悠希くん!!」



いつの間にか、さくらの前には悠希がいた。


「隣り、座ってもいい?」

「う、うん」

「ありがとう」


微笑みを浮かべながら、悠希はさくらの隣りに腰を下ろす。




(言うなら、今がチャンスよ!!)




さくらは、手を強く握りしめた。