その後は、出来るだけ香澄の目につかないように行動し、何とか終業を迎えることが出来た。



「ふう……何とか大丈夫だったな……」



愛車のステーションワゴンのシートに、もたれる悠希。


自然に、

ふうっ

という、安堵のため息が漏れる。




(今日は、何とか乗り切れた……)




このまま時が経てば、きっと香澄の気持ちも収まっていくだろう……


そのような淡い期待を胸に、悠希は愛車のキーに手をかけた。



「さて……帰るか」



そう、つぶやいた瞬間━━━




~~~♪




助手席に置いた携帯電話がメロディーを奏で、悠希に着信を伝える。


心臓を、鷲掴み(わしづかみ)にされたような感覚になる悠希。