走る━━━ どこまでも走る━━━ 広く、何もない空間を、悠希と由梨は手をつなぎ、走り続けていた。 「由梨、いったいどこまで……」 悠希が、そう問いかけようとした時、由梨はすっと前方を指差した。 そして、悠希に顔を向け優しく微笑む。 悠希は、由梨が指差す先に目をこらした。 「誰か……いる?」 まだ遠くて人の判別は出来ないが、確かに誰かが立っているのが見える。 「由梨、あれは……?」 由梨は微笑んだまま、ゆっくり口を開いた。