「き、消えないーっ!?」



お風呂場にて。
午後9時半。



静かなお風呂場に、そんな騒がしい声が響く。




「せ、石鹸で擦っても消えないし……

第一、何なのこの紅いマークは!!」



慌てる彼女。
彼女の片手には石鹸。
もう片方の手にはタオル。



第三者が見るとなると、その光景は、大昔の洗濯するお婆さんように映るだろう。




「く、くそぅ…


あのランドセルめ……」



そううめき声をあげつつも

彼女はその首筋に残る、赤色の痣のようなマークを石鹸とタオルで擦ることは止めた。




………人生、諦めが肝心だよね…。




彼女は、はぁあぁーと長い溜息を吐きながらも、渋々お風呂につかる。




「うぅ、純ちゃんめぇ……」