「奈緒ちゃん」


「はい」


「今日は…」



――――――ドキッ



私の動揺が伝わったのか手を繋いでいる手の力を強め反対の手で、そっと頭を撫でてくれた。



「俺を呼んでくれてありがとう」



嬉しいそうに微笑む顔に驚いた。


まさか、お礼を言われるとは…。


お礼してもしたりないのは私の方なのに…。


俯いているといつの間にやら駐車場。


そして助手席のドアを開けられた。



「え?」



開けた手の持ち主を見上げると。



「逞さん?」


「あれ、乗らないの?」



うん。


これは明らかに助手席に乗れという仕草だよね。


てか、逞さん付いて来てたんだ。


あれ?


逞さん酔ってない?


冷めたの?


早くない?


もしかして、さっきのシラフ?


そう言えば逞さんエントランスどうやって…。


思考が逸れて行った時、泉さんが助け舟をくれた。



「奈緒ちゃんは後ろなんだよ」


「え、そうなの?」



別に大して疑うことなく今度は後ろのドアを開けてくれた。


この人、紳士だ。