教室に入った瞬間、勢い良くほのかが突進……抱き付いてきた。



「おーっと」


「奈緒!大丈夫!?大丈夫なのっ!?」



ちょっとほのかちゃん。せっかく泉さんが直してくれたのに着崩れするじゃないか。


私は控えめにほのかを体から離した。



「大丈夫だから、ね。落ち着いて」


「うー、心配したんだからぁ」


「ありがと」



涙ぐむほのかに微笑んだ。



「ほのかちゃん」



一瞬、心臓が跳ねた。


い、泉さんかと思った。



「あ、紅髪おにーさん?」


「へ、紅髪?」


「ちょっ、奈緒!朱吏さんになんてことをっ!」



きょとん、とするおにーさんと対照に何故かほのかが慌て始めた。



「そー言えば、自己紹介してないね」



いえ、別に結構です。



「俺、黄龍の幹部やってる朱吏よろしくね」



よろしくしたくない。てか、役職まで聞いてない。



「あ、虎さん」



小さく、よろしくの返事をしていると視界の端に黄色い髪が入った。


虎の隣には私と身長が変わらない千夏ちゃんがいる。


あー、まただ。


虎が笑ってる。


彼女だけに見せる顔。


なんか、うざい。


ほわほわしていた気持ちが一気に冷めた