「みんな準備できた?」



ばっちり衣装替えをした私達は教室へ向かって移動中。



「奈緒、似合うー。てか千夏、可愛過ぎじゃない?」



いつの間にやらほのかと千夏ちゃんは仲良しになったらしい。



『いや、ほのか(ちゃん)似合い過ぎでしょ』



ハモった視線の先にはメイド服を完璧に着こなしていほのかがいた。



「でしょー!こりゃ今日、声かけられまくりでヤバイな」



そんなことを言っているほのかの後ろを、私達は苦笑しながら付いて行った。



「さー!男子をアッと言わせるわよー!」


『おー!!』



やっとほのかが委員らしくなったのを合図に私は後ろに引いた。


そしてほのかが扉を開け教室に入った瞬間、想像とは違う反応が返ってきた。



『……』



ありゃりゃ。


この変な沈黙を破った強者は、もちろんほのか。



「ちょっと、私のメイド服と女子の浴衣姿を見て何も思わないわけ?」



ほのかが訝しげに言った。


そうです。


その他、女子は浴衣姿で登場したのです。


それにしてもほのかの「私の」ってところには驚いた。


すんごい自信。


私はいったい、いつまでほのかに驚かされるんだ?



「ちょっと何か言いなさいよ!」



痺れを切らしたほのかが怒鳴った。


私は気付いていた。


男子の顔が赤い。


私が男子の沈黙の理由を言おうとしたら先を越された。



「お前らいくつだよ」