翌日。



「お前ら……包丁も使えねーのかー!」


「そこっ!違うっつてんだろ!」


「醤油いれすぎた馬鹿!」


「それは塩じゃねー、砂糖だ!」



調理室に怒鳴り声が響いていた。


私は呆然と彼女を見つめている。


またほのかの意外な一面を発見してしまった。


彼女の父はパティシエで、しかも母方は代々続く料亭らしい。


本番当日は彼女の父がたくさんのケーキを作って持って来てくれるそうだ。


つくづく、喫茶店にして良かったと思う。


うん、ここはほのかに任せるか。



「千夏ちゃん行こう」



実は昨日、色々あって千夏ちゃんが私の補佐役になった。


私達は特に何も喋らない。


必要なこと以外は……。



「どこ行くの?」


「頼んでおいたコスプレの衣装が届くんだって」



メイド服はもちろん、戦隊ものに新撰組などマニアックなものまで色々……。


どこに頼んだのかは「企業秘密」って、まっちゃんが言っていた。


怪しすぎる。



『うわー』



声を揃えた私達は、それを目の前にして正直引いた。


絶対に着たくない。


だって看護婦にスッチーって、これ完璧に風俗だろ。


あー、女子が嫌がるのが目に浮かぶ。