「あの、本当にすいません。ありがとうございました」



私は、それはもう深々と頭を下げた。



「いーよ。気にしないで」



気にしないなんて無理です。



「吸っていい?」


「あ、はい」



彼は私に許可を取り煙草に火を灯した。


その一連の動作が綺麗すぎて、やばい。


私の心臓、大丈夫か?



「落ち着いたら送ってくよ」


「え、そんな……そこまでお世話には……」



慌てて首を横に振った。



「ここから駅までの道、分かる?」



チラリと視線を向けられた。


う…。



「……分かりません」


「送ってくよ」


「すいません」


「んー、すいませんじゃなくて違う言葉が欲しかったな」


「……ありがとうございます」


「うん。どーいたしまして」



ふわりと笑う顔に、つられて私まで頬を緩めてしまった。