ヒロイン 完

「奈緒ちゃん、俺が教師だって知って驚いた?」



私は顔を埋めたまま、首をゆっくり横に振った。



「じゃーどう思った?」


「やっぱりって…やっぱり女子に囲まれてるなーって…」



泉さんが苦笑したのを感じた。



「他には?」


「もう…もう…」



言葉にするのが怖い。


現実になってしまいそうで怖い。



「大丈夫、言って…」



泉さんの手が優しく背中をさすってくれた。



「い、一緒に、いれないの、かなって……ッ」



瞬間、涙が頬を伝った。


そして暖かい温もりに包まれた。



「いれないわけがない」



泉さんに抱き寄せられていた。



「俺を信じてって言ったよね?傍にいてって言ったよね?」



嗚咽を堪えながら私は首を縦に振った。



「大丈夫。これからも今までと変わらない」



そう言って彼は私の髪を梳いた。


何度も、何度も。



「うーズルイ」


「え?何が?」



突然言った私の言葉にキョトンと首を傾げた泉さん。



「泉さんズルイ、ズルイズルイ」



私の不安で息苦しかった時間を返せ!!


何となく私の言いたかったことが分かったのか彼は苦笑した。