ヒロイン 完

思い悩んでいると逞さんの陽気な声が降ってきた。



「はい、奈緒ちゃんとーちゃく!」


「あ、ありが……」



…とうございます、が言えなかった。


何で?なぜにここなんですか?


着いたと言われたのは泉さんの住むマンションだった。



「愁が待ってる」



有無を言わせない声。


さすが元愚連隊。


一瞬、背筋がゾッとした。


てか、逞さんがあそこにいたのは、私をここに連れてこさせるため?


二度々来ないって言ったのは泉さんの言葉?


逞さん…あなたいったいどんだけ泉さんにゾッコンなんですかい?


てか仕事はどーした!



「ほら、早くしないと愁に俺が殺される」



それは頂けない!



「ありがとうございました!」



慌てて車から下りた私は馬鹿だったこもしれない。



「逃げちゃだめだよ」



不敵な笑みを浮かべて言い捨てるとエンジンを吹かして行ってしまった。


一人取り残された私。


ちょっと、キャラ違くない!?


やだ!そんな可愛くない逞さんやだ!


深く長く溜め息を零した私は自然破壊ともいえる高すぎるマンションを見上げた。


どんな顔したらいいの?


でも、無償に今泉さんに会いたい気がする。


癒されたい。


泉さん笑って。