ヒロイン 完

彼は、どうやら誤解しているみたいだ。


でも、その前にどうして私と彼の関係を知っているのかを探らなければならない。


知っているのは、どう見たって口の堅そうな大雅さんと、正反対の逞さんだけだ。


逞さんは、きっと泉さんに脅されているだろうし、何だかんだで分別のある大人だから口外はしないだろうけど…。



「何で知ってるの?」


「見た」



いったい何を?


いつ?どこで?


私たちは、お互い口には出さないが外へ出るのは控えていた。


そっか…私、無意識のうちに分かってたんだ。


泉さんといるところを誰かに見られたら、まずいことになるって…。


苦笑を漏らした私に恭二は言った。



「クリスマス暴走の時、お前倉庫の前であいつと抱き合ってただろ?」



あー、あの日か…。



「私、泉さんとデキてないよ」



恭二の言葉に肯も否定もせず真実だけを伝えた。


何となく…自分で言っておきながら泣きたくなった。


それが真実なのに…。


泉さんが教師だと知ってしまった今、泉さんが好きだと気付いている今、私にこの恋がカタチとなることはない。



「お前…」


「行こう恭二、二人が待ってる」



悲しげに私を見る恭二の顔には、いったいどんな顔した私が映っているんだろう。


恭二がそんな顔してしまうほど、今の私は酷いのだろうか。


生憎、私は鏡が嫌いだから分かんないままだけどね。