ヒロイン 完

「千夏、」



話が丁度まとまったところに、恭二が現れた。



「あ!恭二、湊来てくれるって!」



無邪気な千夏が嬉しそうに駆け寄って報告すると、恭二は怪訝な顔を私に向けた。



「奈緒ちょっと話ある。千夏、お前たち先に下行ってろ」



有無を言わせないような恭二の低い声に、彼女らはチラチラと私達を伺いながら出て行った。


二人きりになった教室。


いつの間にかクラスには誰一人としていなくなっていて私は若干、恭二から後ずさった。


彼と話すのはどうやら逃れられないらしい。



「お前、あの人がここの教師だって本当に知らなかったのか?」



私は恭二から目を離さないまま頷いた。


呆れたような溜め息と共に私を愚弄する言葉が吐き出された。



「馬鹿だろ。知らずにお前の大嫌いな先公なんて人種と付き合ってたのか?」