「悪かったな」



予想外の言葉に少し反応が遅くなる。



「……颯太くんは何も悪くないんじゃない?」



悪者は私でしょ?


視線を逸らして呟いた。



「幸大さんに殴られそうになった時、俺何もできなくて……」



何でそんなに自分を責めるような言葉を言うの?


何でつらそうな顔をするの?



「あの後、蓮さんに説教されてみんな反省したんだ」



あっそ。



「本当に悪かった、ごめんな」


「やめて」


「え、」


「謝らないでってば。黄龍の人間はみんな悪くない。部外者の私が出しゃばって、あの日行っちゃったのがいけなかっただけだから」


「神山それは……」


「もうこの話しは終わり。ほら、始業式始まるから体育館行こう」



私は言うだけ言って逃げるように席から立ち上がると視線を合わせずに体育館へと足早に向かった。