「んー!うまっ」



逞さんのケーキ絶品です。


にこにこしながらケーキを口に運んでいると視線を感じフォークを置いた。



「泉さん?」


「奈緒ちゃん美味し?」


「はい!すごく!」



こんな幸せなクリスマス初めてですよ。



「奈緒ちゃんが作ったケーキの方がすっごく美味しいよ」


「…」



泉さん、それはない。


絶対ない。



「泉さんって…」


「ん?」



にこにこ微笑みながら首を傾げる。


うん。


前から思ってたんだけど確信しました。



「ちょー女慣れしてますね」



笑顔で言った私にピシッとて幻聴が聴こえてきそうなほど微笑んだまま固まった。


あー固まっちゃったよ。


私はケーキを口に運ぶ作業を再開した。



「奈緒ちゃん」


「はい」


「否定はしないけど」



あ、しないんだ。



「今は僕、誠実だよ」


「…」



今は…ね。


僕って一人称が変わってるところとか、その笑顔がちょーっと胡散臭いけど私は信じますよ。



「泉さんと出逢ってどのくらいになります?」


「んー…夏が終わってだから、四ヶ月ぐらいかな」



そっか。


まだ四ヶ月なんだ。


もう、ずっと前から知り合いな気がする。


もっと前に知り合ってたら私はこんな女にならなかったのかな?