12月上旬。世の中はクリスマスの話題で賑わっていた。もちろん私の周りの人間も。



「ねーねー!クリスマスどうするー?」


「君達、彼氏とデートでしょ?」



クラスの端っこで、お弁当食べながら話す私達。



「そーだけど!」



そーなんじゃん。



「ねっ!千夏」


「うん!ほのか」



なんか、この二人最近息ぴったしなんだよねー。まぁ、仲良くなって良かったよ、うん。



「クリスマスは二人きりなんだけどね」


「うん!イブにね!」



何か要点が見えてこない二人の話を聞きながら、私はタコさんウインナーを頬張った。



『クリスマス暴走するの!』



へー、って……あれ?何か聞きなれない単語が飛んできたような。



「暴走?」


『うん!』



暴走ってアレでしょ?


バイクとか車をヴォンヴォン鳴らして交通ルール全部シカトする近所迷惑な自殺行為。



「知ってた?」



知らなかった。



「恭二君て特攻隊長なんだよ!」



何それほのかちゃん。



「颯太は旗持ち」



旗持ち?


千夏ちゃん旗って何?いったい何の旗持つの?日の丸?



「紫も黄龍入ったし」



あ、入っちゃったんだ。



「千夏は当たり前なんだけど私も誘われたの!」



へー、だから?あ、何か嫌な予感してきた。



『奈緒もいっ……』


「行ってらっしゃい」


『え?』



言葉を遮り言われる前に言ってやった。


無理、絶対無理。


私が暴走に参加とかありえない。


事故って死ぬのだけは勘弁です。