私は、また正座をさせられている。



「ごめんなさい」



今度は、まっちゃんじゃないし、今度は本気でごめんなさいと思っているけど。



「泉さん」



温泉(?)旅行から帰って来た私は、すぐさま携帯に飛び付いた。


苦笑いと共に冷や汗が流れ落ちる。案の定、着信履歴に泉愁の文字が……。もちろんメールBOXの方にも。



「奈緒ちゃん、女子高生が携帯忘れるってどうなの?」



ソファーに座り腕を組んでいる姿が実に様になってます、はい。


てか、それほのかにも言われました。



「うっ……つい、うっかり」



泉さんは盛大な溜め息を吐くと「もう良いよ」と言い立ち上がった。


突き放された。そう感じた私は肩を強張らせ、微かに震えだした拳を固く握り締める。


やだ、嫌われた。やだ、やだやだやだやだやだよ。


泉さん。私、泉さんに見放されたら……。



「……ッ」


「奈緒ちゃん?」



どこかに行ってしまったと思った彼は気付いたら、すぐ傍にいて私の顔を覗き込んだ。



「奈緒ちゃん」



ドッグタグと鍵が一つになったペンダントを、ぎゅっと握り締めていると彼の手が重なった。


恐る恐る顔を挙げると大好きな彼の笑顔があった。



「泉さん」


「奈緒ちゃん、おかえり。会いたかったよ」



何て。


何て。


綺麗な人なんだろう。


泉さんの笑顔も心も穢れた私には眩しすぎるよ。


泉さん、私は、私は、どうしたらいいんですか