ほのかの話を聞いた後、部屋を出て行った男子達を私は追っかけた。



「蓮さん待って!」


「あれ?どうしたの奈緒ちゃん」


「ちょっとお願いが……」



答えてくれたのは虎さんではなく朱吏さん。この際どっちでも良い。



「何だよ神山?お願いって」



マメちょっと黙っとけ。睨み効かしたら何だよーってブツブツ言いながらも黙った。



「で、お願いって?」


「恭二と連絡とれます?」



促す朱吏さんに言えば無言で虎さんは携帯を取り出し掛けだした。



「あ、ありがとうございます」



携帯を預かり耳に当てる。



「もしもし、恭二?」


「おー、どした」


「明日の正午までムラサキ君こっちに届けてくれない?」


『は?』



電話越しの恭二と周りの男達の声が見事に重なった。さすがヤンキーズ。



「ちょっとトラブってさー、説明すんのは面倒だからはしょるね」


「……」



沈黙する恭二と皆さん。



「恭二ならバイク夜通しで飛ばせば間に合うでしょ?」


「いや、でもよー」


「お願い。ムラサキ君、連れて来て」



そう言い終えると虎さんが私から携帯を奪った。



「恭二、人数集めて来い」


「え?」



今度は私が唖然とする番だった。



「ツーリングだ。メットしろよ」



それから二言三言、話した虎さんは携帯を切った。


メットって、ヘルメット?族もヘルメットかぶるんだ?


じゃなくて、人集めてって……まずいでしょ!