膨れっ面で唇を尖らせたほのかが、ちょっと可愛い。ムラサキくんてばガリ勉タイプだったんだ。



「で、何で颯太君までいるんだい?」



教科書から顔を挙げ、集中力の欠片もなくなった彼に問いかけた。ちなみに私は最初からない。



「俺さー、今回のテスト落とすとやばいの」


『そっか』



珍しく真面目な瞳で遠くを見る颯太に、私とほのかは何も言えなかった。留年なんて不憫すぎる。


再びカリカリとシャーペンを動かしだした二人を、私は頬杖付きながら眺める。。


元々、学校じゃ勉強に集中できないんだよね私。


もー、無理だ。


私は回していたシャーペンを置き外に視線を移した。


一週間前のあの日から今日を入れて二度、泉さんからメールが来た。



[会えない?]

[ご飯どう?]



両方とも断ってしまった私。申し訳なさでいっぱいだ。でも仕方ないよテスト前だもん。


でも、でも、やっぱり会いたい。


そう思えば思うほど気持ちは強くなる。


泉さん……今、何してんだろ。


会いたいよ。


握り締めたドッグタグが冷たくて心まで冷えた気がした。