正之助はわたしの頭をくしゃっと撫でた。


「…狭い窮屈な世の中だ。わしにはそうしてなんでもいえばよい。

そなたはそのブツブツ人間でもぶさいくでもない。学問はいくらでもできる。

いや……人生はやり直しがきく。ましてや…そなたはまだ17ではないか。これからが華じゃ。

悩み、苦しんで自分の道をさがせ。ときには泣いて、ぶちまければよい………

いまそなたのいきる日本は自由でよい国じゃ。そこに生まれたからにはそなたも自由に生きればよい」


正之助はにっこり笑った。


わたしは涙が止まらなかった。


そんなあたたかい言葉をうけたのは何日ぶりだろう。