あれから二週間。

毎日のように彼から連絡が入る。
無視する理由もないし、何より頻繁に連絡が来るわけでもないので、ある程度返信はしている。



ただ、やはりずっと気になっていた。


夢の続きはどうなったのか。


何か失礼なことをしていないだろうか。



そんな気持ちばかり膨らむ。
小学生だったとはいえ後味の悪い記憶。
それでも今、彼から連絡が来るのは嬉しく思う。


やっぱり好きだった。


初恋は美しく、そして昔を思い出させてくれ、純粋に素直になれた。





「え?明日?」


いつもの時間、いつも通りに彼から電話が来た。


明日、出かけない?


第一声がそれだった。


思いがけない申し出に戸惑ってしまう。
それが音声にも表れたのだろうか、相手の声がワントーン下がる。


「予定…ある…?」
「うううううん!だいじょうぅぶ!」


首を振りすぎて自分でも何を言っているのかわからない。
受話器の向こうでくすくす笑うのが聞こえ、恥ずかしくなる。


「じゃあ、駅前に11時でいい?」
「う、うん」


頭が真っ白になる。


どうしよう。


これって、デートになるの?



軽くパニックになりそうになりながら明日の服を決めるために洋服タンスを漁り始める。
先輩と初めて出かける時でさえこんなに慌てたりしなかったのに。

淡い恋心を思い出し、頬が赤くなる。



いつも通り、いつも通り。



呪文のように呟きながら、顔がニヤけるのはそのままに、眠れない夜をすごした。