コップに残っていた液体を飲み干し、追加をもらうために立ち上がる。



「好きだった?」



カウンターに向かおうとするのを、腕を引っ張られ止められた。


その目が今朝、夢で見たあの目と重なる。


あまり見ていたくないその瞳から視線を逸らしながら、前を向く。



「好きじゃなかったから、拒否したのかもね」



腕を掴んでいた手が緩められた。
その手が自然と落ちるのを見、途中で会った懐かしい友人と話しながら、何杯目かのアルコールを口に運ぶ。




ビンゴ大会も終わり、同窓会はそろそろ終盤になろうとしている。
私はアルコールで火照った身体を覚ますべくホテルの外で夜風に当たっていた。
帰りはまた友人の彼氏の車で送ってもらうので、何かあれば携帯に連絡が来るだろう。

そんなことを呆然と考えながら、ぶらぶら中庭らしきところを散歩する。



綺麗に整えられた庭園。



こんな庭のある家に住んでみたいな、と漠然と想像しながら前進する。
すると目の前の暗闇から人が向かって来るのがわかった。



ホテルの関係者だろうか。

注意されるのかな。



そんなことを考えながら体の向きを変えて庭観察を再開させた。
足音は徐々に近づいて来て、横を向いている私のすぐ隣で止まる。


なんだと思いそちらを見てみる。


ぱっと見た感じでは誰だかわからなかった。

ただ、ホテルの人ではないらしいことはわかる。