【短編】2度目の初恋

市長の微妙な挨拶を聞きながら、後ろから皆の様子を観察する。
まったりした時間が久しぶりなので演説が子守唄になり、少し眠気も誘う。

すると隣から裾を突付かれた。


「この後ね、同窓会あるんだけど…愛菜ちゃんも行く?」
「そんな案内あったっけ?」
「時間なくて一部しか回ってなかったみたい。当日そのまま行ってもいいらしいよ」
「じゃあ、行こうかな」
「オッケー!隣の市だから車で迎えに行くね♪」


そんな話をしていると、いつの間にか式は終わっていた。

久しぶりの早起きでうつろうつろしていたのですごく有り難いが、もう少し何かあるかと期待していたのに市長の挨拶と新成人代表の挨拶とその他に少し。

想像よりかなりあっさりしていた。




会場の前で記念撮影をし、一旦自宅に戻る。
私服に着替え、友人が来るのを待ちながら携帯メールを見る。



いつの間にか入っていた着信と一通のメール。



会場を後にしたくらいの時間だろうか。
騒がしくてまったく気づかなかった。


『今どこにいるのぉ(涙)同窓会は来る?待ってるからね~☆』


中学を卒業してからもちょこちょこ連絡を取り合っていた美咲。


そこまで頻繁に会っていたわけではないが、それでも長期の休みには一緒に出かけたりしていた。
そして高校卒業してからはまったく会っていない。
ただ、行事毎の挨拶メールは毎回やり取りをしていたくらいだ。



美咲も来るんだ。


久しぶりだな。



懐かしく思い出に浸りながらメール返信をしていると、外でクラクションが鳴った。

初めての同窓会。

皆でどんちゃん騒ぎをするのが少し夢だったので、足取り軽く車へ向かう。