「……何ですか?」


「おいおい、朝っぱらからそんなつまんない顔するなって」


「それだけですか?」



これ以上話をするのは面倒だと、呆れて大げさに会話を切ってみる。

そんな態度を見せてもこの男は、うちへの視線を外さずに会話を繋げる。



「何言ってんだ、挨拶だろ?」


「…おはようございます」


「おはよう、西野」



先生はうちが挨拶したのを確認した途端、にっこりと綺麗に完成された笑顔で挨拶を返す。



………うちと同じ顔をして嫌味のつもりかあなたは?



うちは先生のその後は見ずに教室まで向かった。