3月の冷たい風がほほをかすめる。
それに反抗するかのように火照るからだ。
彼の後ろ姿は、隣を歩く彼より愛おしく思えた。
「ばいばい、また明日」
今度はそっと呟いて、まだ鳴り止まない心臓にそっと手を添え、家路についた。
始まった恋のカウントダウンは、残すところあと一週間。
こっそりと好きでいることに決めた。
気持ちを伝えるには短すぎる。
告白なんてした事のないわたしには、もう少し心の準備というものが必要だ。
1週間なんて時間じゃ、きっと足りない。
「まあとりあえず、寝よう。」
予想もつかない恋の始まりに悩みすぎたせいか、時計はもう0時を回っていた。
ふとんに潜り込んでも脳裏に浮かびだす彼に、焦れったい思いを覚えつつも眠りについた。