「セェ〜ンパイ。お待たせぇ。待ちましたぁ?」

不機嫌な顔をしてる、大山先輩を、上目遣いに見てみた。

「何分待たせんだよ」

大山先輩は、腕時計のガラスをコツコツと軽く叩きながら言った。


えっとぉ〜(-.-;)


「ジュッ」

「違う!」

私の答えが言い終わらないうちに、大山先輩が、畳み掛けた。

「ニ……サ、サン?」

あたしは、指の数を少しずつ増やしながら答えた。

「お前、ルート頭に入ってんだろぉなぁ」

大山先輩に、睨まれて。

「は、入ってますよぉ。あ、当たり前じゃないですかぁ」

後ずさりしながら答えた。

この会話でわかった通り、あたしと大山先輩は、デートの待ち合わせではない。

容疑者のアリバイの検証をしている最中だ。

殺人現場から、ここの噴水広場まで、全速力で走って来たのだ。

容疑者、蓮田が噴水広場に本当にいたのか、どんな方法をつかってでも、アリバイを崩すつもりでいた。

犯人は蓮田なのだ。

大山先輩もあたしも確信していたが、アリバイを崩せないでいた。

犯行時刻は15時30分頃。

ただ、15時40分〜50分頃に、蓮田が目撃されているのだ。

犯行現場付近に怪しい車やバイクなどは目撃されていない。

そうなると、走って逃げた可能性もあるので、あたしは先輩に言われて、犯行現場から噴水広場まで、全速力で走って来たんだけど。

大山先輩に、遅い。と言われた。

「あそこから、10分で来るのはさすがにムリか?」

「10分はぁ。最短ルートで来ようと思ってたんですけど、道路工事があって道1本ずれたんです。だから、正確じゃないかもしれないけど、でも、10分はムリだと思います」
「よし!も1回行ってこい!」


(-_-)


……言うと思った。


「返事」

「ハ・ア・イ」

あたしは、一文字づつ区切りながら返事を返した。