ホテルに予約の電話を入れる時は、変にドキドキして、かなり噛んでしまった。


トオは、そんな僕を楽しそうに見つめた。


「そんなにおかしい?」

恥ずかしくて、チラリと横目で僕はトオをみた。

「そりゃ…大学でもすごいモテるたっくんのこんな可愛い姿見たら、女子は卒倒するだろうなって思うと…」

笑いをこらえる為に話を途中でやめられた。

「本当のことだからいいよ。」

僕は諦めぎみに答えた。


藍ちゃんと離れた数年を、もし他の女の子と遊ぶ時間にあてていたら
僕は経験豊富で、女の子の扱いも慣れてて、藍ちゃんを喜ばせることが出来たのかな…


でも、僕はそうしなかった。
藍ちゃんの為に、今まで続けてきた努力を絶えずしてきた。


離れてしまっていたけれど、僕の中には、いつでも藍ちゃんがいた。


それが僕の幸せ。

後悔はない。


「たっくんは今のままでいいんだよ。」

トオは優しく微笑んだ。