非常階段の踊り場の奥にトオが立っていた。

いや…トオに抱きかかえられる形で誰かもう一人…


「気持ちいいの?マリちゃん」

トオは甘い声を出して言った。


「ん…あ…。はい…」

マリちゃんは自分の口を押さえながらそっと答えた。

マリちゃんの服に手を入れ
トオは身体を撫で回していた。


ヤバイ…
僕が慌てて階段に戻ろうと扉を閉めかけたとき


「君知ってたよね?たっくんが彼女と別れてたの。」

トオがそう言った。

「え?なんで…知って…あん…」



「好きなんだろ?たっくんのこと…。だから知らない振りして相談にでものって彼女に昇格しようと思った?」


「何言って…ああん!んん・・・」

マリちゃんが何か言おうとしたとき
トオの手が激しく動いた。

トオの手が止まるとマリちゃんは激しく息を切らしてその場にへたり込んだ。

「俺嫌いなんだよね。君みたいな子。エッチはしないよ。イッタからいいよね?」

笑顔を浮かべそう言った。

あんなにマリちゃんに触っていた当事者のトオは
その行為に、全く身体が反応していない様子だった。


トオが非常階段を登りだしたから
僕は慌てて階段に戻った。

マリちゃんがトオに向かって言った

「あんたも藍ちゃんもムカつくのよ!たっくんのこと自分のものみたいに言って!」

「モトカノはもう違う男と付き合ってるんだろ?」

「え??」

マリちゃんがそう言ったとき
トオが非常階段の扉を開けた。

うっかり2人の会話を聞き入っていた僕は
トオと鉢合わせになってしまった。



「たっくん…。」