「どうしたの?」何故だか分からないけど、一瞬、啓くんが別人に見えた。わたしは、心配になってたずねた。



「平気だよ。」啓くんは、ゆっくり瞬きをしながらいった。



そのしぐさが、何か違和感があったけど、そのときは、分からなかった。



「大丈夫なら、いいけど。」わたしは、啓くんの手を強く握り返した。


「痛い。」啓くんは笑った。そして、わたしを強く抱きしめながら呟いた。



「ミズノは、ずっと僕のそばにいてくれるだろ?」



わたしは、黙ったまま頷いた。