わたしが、啓くんのそばにいる一瞬、一瞬が本当に、全てだった。

だから、ひとりで自転車で家まで帰る道のり、泣きそうになるのを ぐっと我慢するのに必死だった。



わたしは、家に帰っても何もする気が起きず、1日ぼんやりと過ごしていた。



「テスト近いんだから、もっと勉強したら?」お母さんが、ぼんやりテレビを見ているわたしに呆れたようにいった。



わたしは、体がだるくて生返事ばかり返していた。