相川くんに告白された後、私は相川くんを見つめたまま、何も言えずにいた。


…うそ…そんな、相川くんが……?

まだ“好き”と言われたことを信じられなくて、ただ、胸だけがすごい速さで動いていた。

「…藤崎さん?」

何も言わない私に、しびれを切らしたのか、声をかける相川くん。

「あ…えっ、と…あの……」

“私も好き”

たったそれだけを言えばいいだけなのに、言葉がとぎれとぎれにしか出てこない。

ちゃんと言わなきゃ…。
ちゃんと…気持ち、伝えなきゃ……。

「あの…、私……っ!」

意を決して、やっとのことで言った言葉は簡単に塞がれた。

軽く腕を引っ張られ、緊張で固まっていた私の体は簡単にバランスを崩し、相川くんに抱きしめられる。


しばらく何が起こったのか理解できずに固まっていると、耳元で優しく囁かれた。

「返事は今じゃなくてもいいよ。
……俺も、今すぐに返事聞ける余裕無いから…。」


そう言った相川くんの顔を見ると、少し弱々しくて、私のせいでこんな表情をさせていると思うと、心がズキッと痛んだ。

ギュッと相川くんのシャツを握ると、相川くんの綺麗な指が、ゆっくりと、私の髪をといた。