甘い笑顔のキミ

「…相川くん、大丈夫？」


思わず声をかけると、ちょっと困ったように笑う相川くん。


「大丈夫…。女の人ばっかりでちょっとびっくりしただけだよ。」


もう一度店内を見回すと男の人は相川くんを含めて２，３人程度だった。


ちらっと相川くんを見るとなんだか不安そうな顔をしながら、お目当てのものを探すためキョロキョロと周りを見ていた。


相川くんはよく告白されてるから女の人は慣れてると思ってたけど…実際はそうでもないのかな？


そう思うと、なんだか自分だけが知っている相川くんを見つけられた気がして嬉しくなった。


「…ごめん、藤崎さん。これを探してるんだけど、どこにあるかわかる？」


横から差し出されたケータイの画面をみると可愛らしいマグカップの写真が映っていた。


「あ、これならあっちの方にあったと思うよ。」


そう言いお店の少し奥の方へ歩いて行くと、突然相川くんが「あっ」と声を出して立ち止まった。

その声に私も立ち止まる。


どうしたんだろ？

相川くんの方へ振り返ると、何かを持って再び戻ってきた。


「ごめん、なんでもないよ。行こ。」


相川くんは笑いながら言うと、すでに目の前にあったマグカップ売り場で写真と同じものを見つけ、レジまで持って行った。