甘い笑顔のキミ

「いいよ、舞。そんなやつに優しくしなくても。」

「…渚、ひでぇ…。いいじゃんかよー。100円くらいさぁ。」

まだ諦めるつもりはないらしく、その場にい続ける和樹。

……しょうがないか…。

鞄から財布を取り出そうと手を伸ばすとスッと誰かの手に止められた。

「和樹。100円なら俺の貸すよ。」

「まじで！？さっすが秋！」

驚きながら顔を上げると
そこには100円を持った相川くんがいた。

「え…い、いいよ！相川くん。100円なら私が貸すし…」

「気にしなくていいよ。それに和樹、もう行っちゃったよ。」


そう言われ、視線を戻すと
さっきまでいたはずのところに和樹はいなくて、

いつの間にやら舞を引き連れて教室から出て行ってしまった。


あまりの素早さに呆れているとケータイがふるえ、

画面には『着信:矢野和樹』と出ていた。