甘い笑顔のキミ

顔を上げるとちょっと高めの身長にやけに整った顔をした、従兄弟の和樹がいた。

和樹はへらへら笑いながら手を合わせて首を少し傾け、唐突に言った。

「100円貸して♪」
「断る。」
「…なんで!?」

……だって和樹、変なことにお金使うし。
ろくなものに使うはずがない。

そう思い即行で断ると「ケチだなぁ…」なんて言いながら私の鞄を探りだした。

「ちょっと、和樹何してんの!」

「いや、ちょっと渚の財布様を探そうと…。」

そう言いつつ鞄を探り続ける和樹を止めようと二人で攻防戦をしていると、見かねた舞が財布を取り出した。

「矢野くん。100円なら私が貸すよ。」

呆れた顔で私たちを見ながら言う舞に和樹は首を横に振った。

「自分のカワイイ彼女にお金を借りるワケにはいかないよ~。」

にっこりと優しく笑いながら言う和樹。

舞を見ると顔を少し赤くしながら嬉しそうに笑っていた。

「…人の目の前でいちゃつかないでくださーい。」

笑いながらひやかすように言うと二人とも恥ずかしそうに顔を見合わせて笑った。

「ってことで、渚。100円…」
「やだって言ってんでしょ。」

「……そんなバッサリ言わなくても…。」

泣きまねをしながら舞に抱きつく和樹。
小さな舞は困ったように笑いながら大きな和樹の頭を撫でる。