甘い笑顔のキミ

何かと思い顔を上げた瞬間、聞こえた言葉。

「それじゃ藤崎、やってくれる!?」

前を向くと満面の笑みを浮かべた柏原くんと、なぜか私を見るみんな。

「え…?あ、うん…」

訳がわからずにとりあえず返事をすると、驚いた様子の舞と嬉しそうな柏原くんが視界に入った。

「んじゃ、部活やってるやつは困ったら藤崎に頼んでくれ!以上終わり!」


「…え?」

私が驚いているのもつかの間、柏原くんの言葉と同時にチャイムが鳴った。

呆然としていると舞が心配そうに顔を覗き込んできた。

「渚、話聞いてなかったんでしょ。これから大変だよ?」


……終わった…。


これで早く帰れる可能性はゼロになったよ…。

部活をやっている人は半分以上。

さっき柏原くんに任されたのは、その全ての人のやり残した仕事を引き受けるもの。

多少は他の部活をやっていない人にもやってもらえるものの、大半は私がやらないといけない。