甘い笑顔のキミ

「ははっ、焦りすぎだろ。…大丈夫だよ。藤崎のことはもうふっきれてるし。」

そう言う田中くんは本当に楽しそうに笑っていて、自然と自分の頬が緩むのが分かった。


田中くんは満足そうに微笑むと、突然何かを思い出したのか「あっ」と声をあげた。


「そういやさ、姉ちゃんに聞いたんだけど。」

…田中くん、お姉ちゃんいたんだ。

「首筋にキスするのって意味あるらしーぜ。」

「そうなの?」

何なんだろ?

キスマークなら
舞が自分のモノだって印じゃない?って言ってたけど…。


「なんかさ、キスマークは自分のモノっていう印だろうけど、キスするのは自分のモノにしたいって意味なんだってさ。」


田中くんは得意げに言うと、ふと首を傾げた。

「でも、首筋にキスすんのとキスマークってなんか差でもあんのかな?」

「…さぁ…。」

二人でそんなことを話していると、ドアの方からガタンッと音がした。