「だから今はこれで我慢する。」


言い終わると同時に聞こえた小さなリップ音に、一瞬、思考回路がストップした。

「な……、なにして…っ」

まだ温かい温度が残っている頬を手でおさえながら相川くんを見ると、何も悪びれた様子もなく、にっこりと微笑まれる。

「藤崎さん、隙ありすぎ。告白したのに、昨日と同じようなことできちゃうし。男と二人きりの時は誰であろうと警戒しなくちゃ。」

いたずらっぽく笑ってそう言うと、相川くんは「それと、」と、一度話を区切り、真剣な表情に変わった。


「もう“可愛い"なんて言わないでね?次はどうなるか知らないから。…あんまり隙みせたら…喰われちゃうよ?」


そう言って、妖艶な笑みを浮かべる相川くんに、私の胸の鼓動は速くなるばかりだった…。