イベリコがチャリパイの四人と決別し宮殿に戻ってから、三日間が経過していた。


あれからずっとイベリコは、宮殿の中の王家専用特別室に籠りきっていた。


もっとも、外へ出たいと言っても、あんな騒ぎがあった後でブタフィが外出許可など出そうはずも無いのだが……


あれ以来、自室に籠るイベリコの頭の中ではある言葉が亡霊のように浮かんでは消え、また浮かんでは消えを繰り返していた。



『必ず助けに来るから!』



チャリパイが別れ際、イベリコに告げたあの言葉を思い出す度、イベリコは頭を横に振ってそれを期待している自分の心の弱さを追い出していた。


(もしあの人達がブタフィに捕らえられでもすれば、必ず処刑されてしまうわ……もう私なんかの為にあの人達を巻き込んではいけない!)


宮殿の警備は、あれから尚いっそう厳重になっていた。味方であるトンソークを始めとする侍従局の人間にも厳しい監視の目が行き届いている。


今の自分に出来る事は、ブタフィの申し出をただひたすら断り続ける事。


それだけが、イベリコが出来るブタフィへの精一杯の抵抗であった。




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