「あっ!無視された!」


別に、逃げたり隠れたりした訳では無い。


しかし、しっかりと目を合わせたのにも関わらず、シチロー達にはまるで関心が無いかのような子豚の態度を不審に思い、シチローとひろきは思わず子豚の方へと駆け寄って行った。


「コブちゃん♪何してるの♪」


「もう、事務所の方に行ってるとばかり思ってたけど」


すぐそばまで行って、改めて子豚に向かって話しかけるシチローとひろき。しかしそんな二人に対して、子豚はなんとも予想外な言葉を返してきたのだ。
















「アナタ達、誰?」



「え゛!!!」



これは一体、何の冗談のつもりだろう?……
しかし冗談にしても、これはあんまりである。


「何言ってんのさ!コブちゃん?」


「いくら“ボケキャラ”だからって、そこまでボケなくてもいいだろっ!」


子豚の真意を皆目理解出来ないシチローとひろきは、そう言って子豚に食ってかかるのだが……



「人違いじゃないのかしら?私は『コブちゃん』なんて名前じゃないわよ…」


そう、きっぱりと否定する子豚。その様子は、二人をからかっている様には見えない。


しかし、シチローとひろきの目の前に立っているのは、どこからどう見ても子豚に間違いが無かった。