「あそこにコブちゃんがいるよ…ほらっ♪」


その先に見えたのは、人混みの中に紛れ、一人で辺りをキョロキョロと見回しながら歩いている子豚の姿だった。



「何だ?あの格好は?」


街に溢れる人々のファッションからは明らかに浮いている、まるで中東の女性が纏うようなエキゾチックな衣装を身に着けていた子豚。


まあ、その気になれば全身タイツやねずみ小僧じろきちの格好でも全然へっちゃらな彼女の事であるから、少し位の変わったファッションも不思議では無いと言えば無いのだが。


しかし、今頃は事務所の方でシチロー達が帰って来るのを待っているだろうと思っていたのに、こんな所で一体何をしていたのだろう?



「お~~~い♪」


「ヤッホー♪コブちゃ~ん♪」


揃って、手を挙げて子豚に呼び掛けるシチローとひろき。


しかし、シチローとひろきに呼び掛けられた子豚は、シチロー達と目を合わせながらもすぐにそっぽを向いて、何事も無かったように歩き出してしまったのだ……