「大体、アメリカが認めようが認めまいがそんな事は大きなお世話だっ!いくら大国とは言え、内政干渉も甚だしい!」
確かにブタフィの言う通り、他国の婚礼儀式に対しアメリカが口を挟む権利など無い。
ところが……
「今ひとつご理解頂けていないようなので、少し説明を加えておきましょう……これは、内政干渉などでは決して無く、そこにおられるイベリコ姫の父君……即ち、亡くなられた『ポーク・メンチ国王』の遺言なのです!」
「父上の遺言……?」
亡き父の名前を聞き、そばに居たイベリコが思わず呟いた。
「そうですイベリコ姫……
あまり公には知られていない事ですが、貴女の父、ポーク・メンチ国王と我が合衆国大統領とは三十年来の古き友人であったのです。
……全てはこれが始まりでした……」
ジョンの言った事は本当であった。
イベリコの父、ポーク・メンチは、まだ王位を継承する前の十代の頃アメリカに留学をしていた時期があった……
その頃、共に学び親友として行動を共にしていたのが、奇遇にも若き日の大統領であったのだ。
「お二人の交流は共に一国を治める立場となってからも続き、ポーク・メンチ国王は、病に倒れ自身の命があと僅かであると悟られた際に、一通の書簡をしたため大統領宛に親書として送られたのです」
そう言ってジョンは、ヘリから降りて来る時から手に持っていたジュラルミンのケースを開くと、その中から一枚の書簡を取り出した。
そして、そこに書かれている内容がブタフィやイベリコに見えるように広げて、目の前に掲げるのだった。
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