突然……





凄まじい爆発音と共にブタフィ達の後ろ二~三十メートルの場所に停めてあった数台のジープが真っ黒い煙を上げて炎上した。


「なっ、何事だ!」


驚いて後ろを振り返るブタフィ。


突然の出来事に、狙撃隊も構えを解きその光景を見て呆気に取られていた。


ジープに爆弾でも仕掛けられていたのか?


一瞬そう思ったブタフィだったが、実はそうでは無かった。


上空を二機の戦闘機が凄まじいスピードで横切り、今の爆発が戦闘機からのミサイル攻撃だと気付く。


「襲撃だあぁぁ~~!
戦闘機が攻撃してきたぞ!」


周囲の警備にあたっていた兵士が慌ただしく走り回り、緊迫した空気が辺りを包む。


その数秒後にはブタリア軍基地よりブタフィ将軍へと、今の状況を説明する連絡が入った。


『つい15分程前に、ブタリア王国の領空内に三機の飛行物体の侵入を確認!警告にも応じず迎撃を試みましたが失敗に終わりました……

三機のうちの二機の戦闘能力は我が戦闘機の戦闘能力を遥かに上回り、空軍からの報告では、あれはアメリカ空軍の最新鋭戦闘機F-22ではないか?との事です!』


「アメリカ空軍だと!」


基地からの報告を受け、驚きの表情で空を見上げるブタフィ。


するとブタフィが見上げていたその方角より、炎上するジープの煙の向こう側から近付いて来る一機の輸送ヘリの姿が見えた。


こちらに向かい高度を下げて来る輸送ヘリを見た兵士の一人が、大声で叫んだ。


「こっちに来るぞ!みんな~~撃ち堕とせ~~!」


その声を聞きつけたブタフィは、慌てて銃を構える兵士達を制止した。




「待て!撃つな!
絶対に誰も撃ってはならんぞ!」


先程のミサイル攻撃はどう考えても威嚇攻撃である。
大国を相手にこちらから先に直接攻撃を仕掛ける事は、避けた方が得策……と、ブタフィは考えたからだ。



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