ところ変わって、ここは外国人VIP御用達の某高級ホテルのロビー……
非公式で姫と共に、この日本に訪れていたブタリア王国侍従長は苛立っていた……
「ええい!姫はいったい何処に消えたのだ!…国王亡き後、王位の継承権を持つ姫を狙って軍部の者が来日しているとゆう情報も入ったというのに……」
ブタリア王国は、純然たる王政国家である。
圧倒的軍事力の行使で、実質的な政権の掌握を果たした『ブタフィ』将軍ではあるが、ブタリア王国を統括する正式な権限は依然国王にある。
そして、国王亡き現在の王位は、国王夫人、あるいは国王の血を受け継ぐ子供に継承される事となるのだが、国王夫人は五年前に既にに死去。
現在の王位継承権は、一人娘であるこの国の姫のみが有していた。
侍従長の苛ついた様子に少し言いづらそうに、部下がこんな言葉を伝える。
「さあ……姫はお出掛けの際、確か『サムライを捜しに行く』とかおっしゃってましたが…」
「何を言っとるか!サムライなど、今の日本にいる訳が無いではないか!……それで、姫は今どこにいらっしゃるのだ!」
「いえ、それが……ちょっと目を離した隙に、どこかへ消えてしまいまして………」
そのブタリア王国の王位を継承する姫が、今頃チャリパイの四人とスキヤキパーティーをしているとは、この二人には想像も出来なかったであろう。
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