そして、ついに運命の日は訪れた。
処刑日当日……
「せっかく外に出られたと思ったら、なによ~~これっ!」
「あたし達助かるんじゃなかったの~~~~っ!」
「このウソつき将軍~~っ!」
「死んだら化けて出てやる~~!」
既に処刑台に縛り付けられ、身動きもとれないチャリパイの四人とロースはただ、声を大にして喚く事しか出来ない。
その五人から離れること15メートル程の場所には、十数名の狙撃隊が控え、その後ろには何人かの軍人と共にブタフィ将軍、そして両腕を兵に抱えられながらここに連れて来られたイベリコの姿があった。
「姫、今のうちによく見ておきなさい♪生きているあの者共を見られるのもこれが最後ですよ♪」
厄介者を一掃出来るとあって機嫌を良くしているブタフィは、イベリコにそんな無神経な言葉をかけ神経を逆撫でしようとするが、今のイベリコにはすぐ傍にいるブタフィの言葉など全く耳に入ってはいなかった。
「ロオォォォォォォース!」
涙を瞳いっぱいに溜めながら、声を限りにその名を叫ぶ。
「イベリコすまない!俺は君を護る事が出来なかった!」
死の間際でさえ、愛するイベリコを護る事にこだわるロースに対し、イベリコは首を大きく横に振って答えた。
「何を言うの!それは私の方だわ!
私は貴方達を護れなかった!」
瞳から涙が零れ落ち、頬を伝って流れる。
「ごめんなさい……………」
そのまま、がっくりと膝を地面に着きイベリコは砂を掌で強く握りしめた。
ふつふつと沸き上がる悲しみと怒り……
イベリコの中で、何かが弾けた。
気が付くとイベリコは、握ったその砂を狂ったようにブタフィに向かって何度も何度も投げつけていた。
「わああああああぁぁぁぁぁっ!」
「うわっぷ!痛い!なっ、何をする!
おい!お前達、早く姫を押さえつけんか!」
慌てて兵達にイベリコの拘束を命ずるブタフィ。
少し位の抵抗は予想していたものの、あのイベリコ姫がこんなにも取り乱すとは、ブタフィにも予想外の事であった。
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