結局、チャリパイの脱獄作戦は失敗に終わり、ロースを含めた五人は牢獄から出る事無くイベリコとブタフィの婚約会見の日を迎えてしまった。
そして、会見当日……
その日、宮殿には世界各国から招待されたマスコミ関連の記者達が数多く押しかけていた。
会見席に並んで座るブタフィとイベリコには、カメラのフラッシュが途切れなく当たり、その様子は各国のテレビで放映されている。
やがて、記者から質問の嵐が二人に浴びせられた。
「ブタフィ将軍、イベリコ姫とのなれそめをお聞かせ下さいませんか♪」
「イベリコ姫と初めて出逢ったのは、私が将軍に任命されてこの宮殿に出向いた時の事です!一目見た時から、私のハートにビビッときました!」
「挙式の方は、いつ頃になりそうですか?」
「まだ国王が亡くなられてから三ヶ月も経っていませんから、すぐにとはいきませんが、悲しみに暮れているブタリア国民の皆さんに明るい話題を提供出来るように、なるべく早い時期にと考えています」
「イベリコ姫にも、お話を伺いたいのですが……ブタフィ将軍からは、どんなプロポーズの言葉を頂いたのですか?」
「………………」
俯いたまま記者の質問に答えないイベリコの様子を見て、すかさずブタフィが間に入る。
「いやあ、何と言ったかなぁ~♪
きっと姫は恥ずかしがっているのですよ♪
質問は私の方にお願いします」
およそ祝い事の席に似つかわしく無いイベリコ発するの雰囲気に、記者達は困惑したが、気を取り直して質問を続けた。
「それではブタフィ将軍、質問を続けさせていただいてよろしいでしょうか?」
「はい、何でもどうぞ♪」
すると、順番の回ってきた後ろの記者から唐突にこんな質問が発せられた。
「先程から気になっていたのですが、会場に響いてくるこの音は何の音なのでしょう?」
「音……?」
会場の音の事など全く気にしていなかったブタフィだったが、言われてみれば妙な音が聴こえていた。
カン カンカン カン カカカン………
それが何の音なのか、どこから聴こえて来るのかもブタフィには全く見当もつかなかった。
「ハテ?、私にも分かりませんがあまり気になさらないで下さい♪
きっと、空調の機械の調子でも悪いのでしょう……さあ~他に質問のある方は?」
その頃、宮殿地下の牢獄では……
カン カン カカカン カンカン!
「ハラ減ったああぁぁ~~~~!
なんか食わせろおおぉぉ~~~!」
「ヘビの丸焼き食わせろおおぉぉ!」
「ビール飲ませろおおぉぉ~~!」
「うるせえっ!お前ら静かにしね~か!」
会場まで聴こえていたあの音は、空腹なチャリパイが看守に怒鳴られながら、まるで駄々っ子のように皿を激しく叩いて『何か食わせろ』と大騒ぎをしていた音だったのだ。
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